カウンセラーになりたい企画

カウンセリングとは何か?│精神面のケアが遅れている日本

はじめて投稿します。心理カウンセラーの神田裕子です。

私は20代からカウンセリングに携わっています。今でこそ、カウンセリングという言葉は一般に知られていますが、それでもまだ「病んでいる人の行くところ」というイメージがあるようです。私が市民の意識調査をした平成8年のアメリカには、「人間関係で煮詰まった」「仕事上のストレスがあって」「夫婦仲がうまくいかない」という理由で気軽にカウンセリングを受けられる環境がありました。

オレゴン州の人口50万人ほどの中規模都市に、電話帳8ページにわたってカウンセリングルームの名前が並んでいました。日本が精神面のケアに遅れていると感じた私は、日本に戻ってすぐにカウンセリングルームをオープンさせました。当時は、カウンセラーと占い師は何が違うの?と囁かれるような時代でしたし、札幌市の電話帳でも2ページ、それも各種療法という項目のところにカイロプラクティックや鍼灸師と一緒に掲載されていました。

地方紙やフリーペーパーなどのメディアに取り上げていただきながら、告知に励みました。そしてカウンセリングが一般化していくきっかけがやってきます。平成15年にうつ病が労災認定をされたことでした。それ以来、急激に精神科・心療内科の敷居が低くなり患者が増加しました。一大”うつ病ブーム”が到来し、受診予約を取りくくなりました。その状況は現在も続いています。うつ病は早期発見・早期治療が基本なので、抵抗なく受診くださるのはカウンセラーとしても喜ばしいことです。ただ、医師との相性や治療方針等を考えると、もっとたくさんの機関があっていいですし、より専門分野に分かれた医療を望みます。

私は発達障害のある方とそのご家族やパートナーを中心に、カウンセリングをしています。発達障害については以前よりも心理検査を実施する専門機関が増えましたが、ご家族のケアにまでは手が回りません。

カサンドラ症候群には特化した相談機関が必要

「カサンドラ症候群」と呼ばれる苦悩や葛藤を抱えるクライエントが多い昨今、一律的な治療やカウンセリングよりも発達障害に特化した相談機関が必要だと感じます。カサンドラ症候群とは、発達障害のある家族やパートナーを抱える人が、その葛藤やつらさを誰かに相談しようとしてもなかなか理解してもらえない苦悩を言います。ギリシャ神話に登場する、アポロン神から好意を示されながらも受け入れなかった娘の名前から付けられました。

カサンドラ症候群に陥る人の訴えが周囲に伝わりにくい要因は、発達障害の特性が誰にでも当てはまる言動であり、それが極端な形で現れるものの微妙なその違和感を言葉にするのが難しいことにあります。対象への不満は、「会話が噛み合わない」「こだわりが強い」「ルーティンを崩せない」「仕事を最優先にするため家事をしてくれない」といった内容です。

いかがでしょうか?このような相談をされると、つい「夫婦のコミュニケーションは難しいね」や「いいじゃない、信念があって」「仕方ないよね、大黒柱だから」など、慰めて終わるのではないでしょうか。この声かけによって、カサンドラさん達は傷ついて心を閉ざし、孤立していくのです。カサンドラ症候群の問題は、職場でも大きな問題となっています。

(神田裕子)

パートナーが発達障害かも?と思ったときに読む本

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