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心理カウンセラーの気になる収入は?

心理カウンセラーは「なりたい職業」ナンバーワン

サントリー食品インターナショナルは、“働く人の相棒”「BOSS」発売30周年にちなんで、昨年ある調査をしました。30代~60代の働く男女を対象にした「大人がなりたい職業調査」がそれです。驚いたことに、ここ30年の間に出現した新たな仕事のうち、女性の就きたい職業の第一位に「公認心理師」(心理カウンセラー)が挙がりました。

サントリー「働く人の意識調査2022」より

私がカウンセリングルームを開設した1996年前後は、「心理カウンセラーってなに?」という認識であったものが、今やあこがれの職業‥。これには時代背景もあると考えています。バブル崩壊以降、災害や事件そしてパンデミック‥とつらいできごとが続きました。そのため人々の関心は「心」に向かったのです。調査結果においても、心理カウンセラーを選んだ理由は「誰かの役に立つから」とありました。確かに、結果としてそうならなくてはいけない仕事です。ただその前に「おのれの生計を立てるために何をすべきか」を探るために、今日は、“カネオくん”(※注 NHKの番組『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』のキャラクター)の視点から、カウンセラーという仕事を考えてみましょう。

心理カウンセリングの相場はどのくらい?

どの士業もそうですが、公認心理師を取得したからといってすぐに独立できるかというと、そうではありません。大学院卒業相応の知識があり、カウンセリングスキルが十分であることを認められて病院や学校などの組織に属するのであれば、定期的な収入を得られます。でも自営業として起業する場合、他の仕事同様に企画力・営業力そして人脈が必要です。中には公認心理師に合格はしたけれど、カウンセリングができない(したことがない)‥という人がいます。そういう人は「生計を立てる」以前に、資格をどう活かすか、というキャリアカウンセリングを先に受けましょう。

さて、保険のきかないカウンセリングの相場は、50分5,000円から20,000円程度。大学院併設のカウンセリングルームでは、大学院生の演習として実施することも多いため、3,000円ほどに設定されています。もちろん安いからといって、自己流で話を聴くことはありません。指導教員がスーパーバイザーとしてつきますので、研修医のようにチームでサポートしながら進めていきます。それでも心配な人は、実績のあるカウンセラーがよいでしょう。カウンセラー選びのポイントは、最低限「どこで学んだのか」と「どの手法でカウンセリングを行うのか」が明確であることです。

次に、1回のカウンセリング料金を10,000円にして、1ヶ月どれくらいになるのかを計算してみましょう。開業カウンセラーのもとへ1日に2人‥足を運ぶ人がいるとして、20日間それが続きますと月収は40万円です。そこから家賃や交通費、広告費、社会保険等15万円を差し引くと、残りは25万円。高いでしょうか、それとも安いと考えますか。お小遣いとしては十分であっても、家族を養うには足りないかもしれません。そして、「毎日異なるクライエントが2名、コンスタントに来所する」という状況予測は、現実にはなかなか厳しいことです。

カウンセラーも開業したらマーケティングは必須

“馬車馬のように”私が働いたある時期には、1日のカウンセリング予約が6件ということもありました(けっこうヘロヘロ)。でも開業したての頃は、来所者数0の日が半年続きました。「開業した」はいいけれど、ただ待っているだけではクライエントはやってきません。起業は誰でもできますが(カウンセラーと名乗ればよいだけ(^^;))、経営を維持するために、マーケティング(戦略・戦術)は必須です。私の場合、パブリシティを活用して、小さなエリアの方々に知っていただくことからスタートしました。他にもフリーペーパーや習い事雑誌に、広告を載せたこともあります。25年も前のお話ですから、現在であればSNSで拡散する方法にあたります。

インターネット社会には、情報が氾濫しています。カウンセラーも玉石混交です。その中から、自分にぴったりのカウンセラーを見つけるのは至難の業です。私のところへ来られるクライエントは、絶対的に「信頼」できる人を探し当てるため、まずカウンセラーのSNS発信をくまなく読みます。お試しのカウンセリングを受ける人もいます。リアルに講演や研修を通じて「神田裕子」という人柄に触れたうえで、悩んでいる知人を紹介してくださる人もいます。このように、最後は自分の目で確かめ、文章やカウンセラー自身から伝わってくる感覚を大切にしながら、予約に向けて動く人が多いように思います。

それでは、どうするとニーズとシーズが一致するのでしょう。その一つとして、あなたのすばらしい知識とスキルを体験できる場を設定すること、そして人柄(相性)を知ってもらう機会をいかに作るかがポイントになります。「儲かる」という字は「信者」と書きます。どこかの宗教のように依存心を起こさせてはいけませんが、クライエントがカウンセリングを“卒業”した後も、ファンでいてくれる人が一定数いなければ、経営は成り立ちません。

(神田裕子)

パートナーが発達障害かも?と思ったときに読む本

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