東京五輪公式スポンサー問題で逮捕者を出したAOKIホールディングスは、どんな企業なのだろうか?
衣料品販売チェーン大手のAOKIHDは、1976年にアオキファッション販売としての出発。1985年にはアオキインターナショナルに商号を変更。持株会社体制に移行したのは2006年である。現在はAOKIHDを親会社として、子会社のAOKI、アニヴェルセル、快活フロンティアとグループを組む。
コロナ禍で2021年開催と1年延期になった東京五輪では、AOKIHD製のユニフォームが日本人スタッフに提供された。公式スポンサーに選任された効果だろう。その公式スポンサーへの就任における不正嫌疑(贈賄)で、前経営幹部らが逮捕された。AOKIHDの屋台骨を支えているのは、ユニフォームや紳士服(スーツなど)の販売を中心とするファッション事業だ。それに加えてゲストハウススタイルの結婚式場、複合カフェやカラオケルームの運営も手がける。最近注力しているのは24時間型フィットネスジム「FiT24」の展開だ。
スーツの販売などファッション事業を展開している店舗は610店舗。内訳は「AOKI」504店舗、「ORIHICA」106店舗である。ブライダル事業は10店舗。複合カフェ「快活CLUB」は504店舗、カラオケ「コート・ダジュール」は113店舗、「FiT24」は91店舗を数える。グループ全体で1328店舗を運営し、売上高は1549億円をマーク。営業利益は54億円で、売上高営業利益率3・5%だった。紳士・女性用ビジネスウェア、いわゆるスーツの販売では、業界トップの座を青山商事と競っている。
AOKIHDのファッション事業売上高は886億円。グループ全体売上高の57%を占める。スーツ類の仕入原価率は約35%、シャツ類の仕入原価率は40%強で、ファッション事業全体の粗利益率は58・1%だ。年間のスーツ販売は89・4万着。平均単価は2万3700円である。ちなみに、ブライダル事業における婚礼挙行組数は2789組。平均単価は376万円だった。
ファッション事業610店舗の概要を見ておこう。小売店舗で従業員数がパートを上回っているのは例外的だ。スーツの販売には専門性が必要ということなのだろう。土地持ち企業であるだけに、1店舗平均の土地資産は1400万円である(数値はいずれも、22年3月期)。
■ファッション事業610店舗の概要(22年3月期)
1店舗1日平均売上高 | 39.8万円 |
1店舗1日平均仕入高 | 15.9万円 |
1店舗1日平均営業利益 | 2.1万円 |
1店舗平均資産価値 | 6900万円 |
(うち土地資産) | (1400万円) |
1店舗平均従業員数 | 3.1人 |
1店舗平均パート数 | 2.3人 |