デザイン

配色を考える時に思い浮かべてもらいたいモノ(前編)

よく、色についてご質問を頂きます。
自分がアパレルデザインの経験もあって、「一つの柄で3配色作らねばならず苦労した」と愚痴めいた事を書いてたのを読者の方が覚えてくれてたのかもしれません。あまり盛り沢山の方法や、細かいテクニックなどを詳しく書いても、逆によくわからなくなってしまうでしょうから、今回、ひとつポイントを絞り書かせて頂きますね。簡単ですけど、とても重要な「色の見方・考え方」です。

「上達法」と言うほどに体系化もされておらず、どちらかと言えば「考え方」だと思いますが、それだけにシンプルで覚えやすくきちんと頭に叩き込んでおくと対応できる場面も多く、かなり強力な方法と思います。そしてこのやり方は、「プロの人は配色を考える時、意識的にあるいは無意識にやってるけど、素人の人達はあまりしないであろう色の見方」です。

そういう意味では、「プロの色の見方であり考え方」であって参考になるかもしれません。もったいぶらずに書きますと、配色を考える時に「色相環」を心の中に思い浮かべることです。

「?それだけですか。 色相環ってあの色環のこと?」とわかってしまった人は、「色相環」というものをご存知なのでしょう。しかし「色相環」ってあまり聞いたことのない言葉ですね。まず日常生活の場で出てくるものでもありません。まず「色相環」について、とりあえず言葉で説明してみましょう。

「色相環」とは文字通りに色の環で、例えば12色なら12色の色相を時計のように円にそって丸〜く並べていったものです。こんな拙いご説明でわかってもらえるかどうか、非常に不安なんで、百聞は一見にしかず!ということで画像を載せましょう。「色環」って言葉は知らなくても「ああ、こういうもんか」とお分かりになったかと思います。多分皆さん、どこかで一回は目にされたことがあるのではないでしょうか。

色相環

緑の反対側の色=緑の補色は何か?

はい、では「色相環」というものが何か、皆さん理解された前提で話を進めますが、あなたがネットでも雑誌の写真でも街でも映画の中でも、何でもいいから、きれいな色合わせを見つけた時に、もし緑色と赤色の配色をきれいだと感じたなら、その2色が「色相環の上で」どこにあるか? まず、イメージして欲しいのです。そして色環上での「2色の関係性」を探ってみてください。そうです、「いつでも心に色環を」イメージして、色の事を考えてみてもらいたいのです。

ひとつの色を見るときでも、全体の色相環の中でその色がどこにあるのか? 常に意識してもらいたいのです。例えば緑色と赤色であれば「対角線」反対の位置にありますよね。つまりは「捕色同士」の関係というのが一目でわかります。補色の例でよくあげられるのがセブン-イレブンの看板だったりします。緑と赤が使われています。素敵な配色かどうかは別として、補色系を効果的に使った配色なんでインパクトが有ることは確かです)。

赤色と黄色でしたら、色相環の中でかなり近いですし、近くに暖かい色が並んでることから暖色系の色相だという事がわかります。

トライアドの3色の位置関係

またもう一歩踏み込んだ応用系で、街で見かけたポスターがとてもきれいな色合いで「オレンジ」「青色」「赤色」の3色がメインカラーとして配色されてたとしましょう。それを見て「きれいだな〜」とただ感心するだけではなく、頭の中の「色環」の中でこれらの3つの色が、どこに位置しているか?イメージします。

すると3つの色がほとんど等間隔の距離に位置し、3つの色を結んでみるとほぼ正三角形になることがわかります。こういう3配色は「トライアド」という配色方法(というかパターン?)であり、ひとつのテクニックとして確立もされています。

一般的には3色が色相として適度に離れていて、バランスの良い配色になると言われています。これも「色相環」を知り心の中でイメージ出来ていないと、この配色方法の言葉を文章として覚えていてもデザインする上で使いこなす事など出来ません。

このようなテクニックに関しては、デザインをする上で、諸刃の剣のような所もあり、何でもかんでもこの法則に当てはめようとしても上手くいかないこともあり、注意も必要です。

法則を使いこなすつもりが法則に使われては仕方ないですよね。しかしデザイナーはそれでも「色相環」を土台にして考えだされたような配色テクニックもきちんと知識として手に入れ、必要なら使えるかどうかを、自分で選択しないとならないとまずいでしょう。

そのためにも、デザイナーは「色環」という環を、いつでも心の中にイメージしそれを土台に色というものと付き合っていくべきではないでしょうか。

「色の距離感」から「色の関係性」の理解へ

ここら辺は、時間を見るときに、デジタル時計だと14時なら14時、という事実だけしかわかりませんが、アナログの時計なら全体の中で14時がどの辺にあるか? 円全体から他の時間との関係性から感覚的に理解できると思いませんか? 距離感って結構直感的なモノなんでイメージしやすい訳です。

例えば、貴方が選んだ2色が似た色で、近い距離にあれば「同系色」です。選んだ2色が対角線にあり(時計で言えば3時と9時の位置)、一回り回らないと追いつかない距離にあれば、「補色」であるのです。

「色相環」を意識すれば「寒色」「暖色」についても、すぐにわかってきますし「補色」がインパクトがあるのは、色相環の距離の中で一番距離が離れているものを配色としてぶつけているからだ!というのが、理屈でなくわかってきます。そして完全に補色で明度の同じ2色をぶつけてしまうと、インパクトが強いというのを超えて、ハレーションを起こしてしまい、大変なことになる事も、わかってくるのではないでしょうか。

色相環を思い浮かべるだけで配色を考えやすくなる

そして再現性を持って、色の関連性を思い浮かべる時、僕などはもう20年くらい、まず色相環を心に浮かべて、思い出す癖がついてます。その方が、色全体の中での2色の配色が心に浮かび、例えばその配色がだめでも、それを円に沿って(時計の針を回すように)2色ともスライドしたらどうだろう?とか、色についてのイメージが速やかに展開するようで掴みやすいと思うからですね。

また、完全な補色合わせはほとんど使われていなくて、作り手が意識的にやっているか無意識かわかりませんが、少し色相環の対角線をずらす形で「完全な補色合わせにならない色合わせ」でインパクトを弱めてる時もあります。

その時も、つまりは「補色」は強過ぎるからタブー視されるけど、その強さを良い具合に少しだけ中和するから、このテクニックが使われているんだなと、理解した後に色相環をイメージすることで明快に覚えておく事ができる訳です。

(カマタ・タカシ)

センスがないと思っている人のための読むデザイン

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