企業の経営成績は財務3表に示される

ビジネスリサーチ・ジャパン(代表・鎌田正文)著の『2022年版 業界地図』(税込1320円 プレジデント社)が、8月中旬から全国の書店に並んでいます。

 企業の経営成績は、基本的には財務3表に示されます。

「損益計算書(PL)」「バランスシート(BS/貸借対照表)」「キャッシュフロー(CF)計算書」の3表です。

『2022年版 業界地図』では、そのなかでもCF計算書を重視しました。海外の主要企業を含め、CF計算書の重要3科目の「営業CF」「投資CF」「財務CF」の数値を掲載しています。類書と大きく異なる点です。

 売上高や経費の数値を操作し、利益を多く見せかけるといったケースが跡を絶ちませんが、キャッシュの流れはウソをつきようがありません。CF計算書重視の要因のひとつです。

「売上高」「営業利益」「当期純利益」「総資産」「純資産」といったPLやBSの科目に比べて注目度合いは低いですが、CF計算書に注目すると企業の動向はより明らかに見えてきます。複雑なように見える財務諸表も、CF計算書を使えば一目で理解できます。企業の投資戦略や財務方針もすぐに把握できるといっていいでしょう。

『2022年版 業界地図』で示した世界トップの通販大手、アマゾン.コムを例にとりましょう。 

アマゾン.コムの5期合計の金額です(16年12月期~20年12月期)。  
・営業CF  1708.69億ドル(18兆2829億円)
・投資CF △1328.61億ドル(△14兆2161億円)
・財務CF △126.44億ドル(△ 1兆3529億円)
(CF=キャッシュフロー。「△」は出金超過=赤字。「1米ドル=107円」で換算)

 これら数値をベースにすれば、以下のように説明できます。

アマゾン.コムは、5年間で新たに18兆円を超えるキャッシュを獲得し、それを元手に投資活動として社外に14・2兆円を投じ、株主に対する配当金を含めて財務的に1・3兆円使った、ということです。結果的に、5年間で手元キャッシュを2・7兆円増やしました。

 営業CFの金額は、売上高とはまったく異なります。商品・製品の販売やサービスの提供で得たキャッシュから、支払いに要したキャッシュ(仕入代金などの原価、人件費、支払法人税など)を差し引いて求めます。

正真正銘の実入りキャッシュです(上場企業などは別の計算式を使用しますが、「営業活動で得たキャッシュ-営業活動に使用したキャッシュ」と同値です)。

投資CFは、企業買収や設備投資に投じたキャッシュと、子会社売却や施設の譲渡にともなう入金をプラスマイナスします。経営が順調に推移している場合、入金よりも出金が多くなります。『2022年版 業界地図』では「△=赤字」で表記しています。

赤字というイメージはよくないのですが、投資CFは出金超(赤字)が望ましいのです。反対に、投資CFの黒字(入金超)は、リストラを進めている企業といえるでしょう。

財務CFは、借入金の返済や自社株購入、支払い配当金などが、新たな資金調達を上回れば出金超(赤字)になり、新規の資金調達が多ければ黒字になります。

営業CFが「〇(入金超)」、投資CFが「△(出金超=赤字)が基本的なパターンです。キャッシュが足りなければ財務CFを「入金超」にし、キャッシュが足りていれば「出金=△」にして調整します。企業運営の基本の基本です。この点だけを押さえれば、複雑そうに見える企業の財務諸表を理解できたといっていいでしょう。

『2022年版 業界地図』(税込1320円 プレジデント社)では、各業界の代表的な企業を中心にCF計算書の3大科目「営業CF」「投資CF」「財務CF」を掲載しています。

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