フリーランスのお金

新人フリーランス必読!確定申告を最速で終わらせる方法

働き方の多様化で、確定申告は身近なものに

毎年3月15日が近づいてくると、「確定申告しなきゃ!」「何も準備してない。やばい!」といったような声が、フリーランス界隈でよく聞こえてくる。

企業に勤めている人は、「確定申告って大変なんだな」と思うばかりで、実際それがどれくらい手間のかかる作業なのかイメージしづらいかもしれない。しかし現在、会社に勤めながら副業をしている人は10%近くに及ぶ。副業での所得が20万円を超えると確定申告をする必要があるため、サラリーマンにとっても確定申告は他人事ではないはずだ。また、働き方の多様化によって、将来フリーランスとして働くことを選ぶ人は、今後ますます増えていくことだろう。

そこで本項では、『マンガでわかる フリーランスのお金のことぜんぶ教えてください!』田口智隆著、ワン・パブリッシング)から、新人フリーランスが知っておくべき確定申告の知識についてお伝えする。

『フリーランスのお金のことぜんぶ教えてください!』
フリーランスが知っておくべき確定申告の知識はこれだけ!

そもそも「確定申告」で何を申告しているかというと、「所得税の金額」である。前年の1月1日から12月31日の間の所得を「確定」させて、所得に伴う「所得税」を申告することを、「確定申告」と呼ぶのだ。所得とは実際に入金された「売上」の金額ではない。

「売上」から、「経費」と「控除」を差し引いた金額が、「所得」である。

つまり、「所得=売上−経費−控除」で計算できる。確定申告をするにあたってフリーランスに求められることは、1年間の「売上」と「経費」と「控除」の金額を管理しておく、これだけである。

難しい簿記の知識などまったく必要ないし、複雑な計算をする必要もまったくない。とにかく、「売上」と「経費」と「控除」の金額だけ知っていればOKなのだ。

「売上」については、取引先に送った請求書と、実際に入金された額がわかる通帳(現物でもいいし電子でもいい)があればいい。「経費」については、仕事のために使ったお金の領収書やレシートを保管しておけばいい(クレジットカードの明細でもOK)。「控除」については、生命保険会社や年金機構などから送られてくる「控除証明書」を保管しておけばいい。

これだけアナログでやっておけば、あとは「Freee」「マネーフォワード」「やよいの青色申告」などの会計ソフトを利用しよう。

会計ソフトにはクラウド型とインストール型があるが、オススメはクラウド型の有料版。クラウド型の有料版は年間1万円程度の利用料金がかかるが、初心者でも使いやすいように設計されているソフトが多いのでオススメ。確定申告の書類をスマホ1台で作成できるソフトもある。それくらい今、会計ソフトは進化しているのである。

©大塚さやか『フリーランスのお金のことぜんぶ教えてください!』
会計ソフトに機械的に数字に打ち込むだけで終了

クラウド型の会計ソフトは、毎月の「売上」や「経費」、「控除」の金額を打ち込むだけで、確定申告に必要な書類を作成してくれる。簿記の知識が何もなくても問題ない。電卓をはじいて数字の計算をする必要もない。

フリーランスのお金の管理法として、理想は毎月その月の「売上」や「経費」を登録し、現金出納帳などの帳簿を作成しておくのがベスト。でも、それが面倒な人は、確定申告の際に1年分を一気に作成しても問題ない。

何度も繰り返すが、1年分の「売上」と「経費」と「控除」の金額だけわかっていれば、3月になってから確定申告書類の作成に入っても遅くないのである。

さらに、クラウド型の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと同期することも可能だ。プライベートでは使用しない、仕事用の銀行口座やクレジットカードを会計ソフトに同期しておけば、自動的に「売上」や「経費」を計上してくれる優れた機能である。

また、レシートや領収書をカメラで撮るだけで、金額を読み取ってくれる機能まである。これらを使いこなすには慣れが必要だが、いったん慣れてしまえば、確定申告の手間はほとんど掛からなくなる。フリーランスになったら、できるだけ早くクラウド型の会計ソフトを導入して、使い方に慣れておこう。

確定申告は「還付金」がお楽しみ

確定申告を初めて行うフリーランスは、「納税のために時間をとるのか……」と気乗りしないかもしれない。でも、ほとんどのフリーランスは、確定申告によって「税金を払う」のではなく、すでに払っていた税金を「還付金として受け取る」ことになる。

フリーランスが企業と仕事するとき、多くの場合、請求金額よりも少ない金額しか入金されない。たとえば10万円を請求したら、8万9790円が入金されることになる。これは、「源泉徴収」といって、企業はあらかじめ、フリーランスの所得税を税務署に前納しているからだ。源泉徴収の金額は、「売上額(消費税込)」の10.21%である。

©大塚さやか『フリーランスのお金のことぜんぶ教えてください!』

そのため、確定申告によって算出した所得税の金額が、源泉徴収分よりも少ない場合、差額分が「還付金」として戻ってくるシステムなのである。

所得税が源泉徴収分より少なくなるのは、確定申告によって「経費」や「控除」を「売上」から差し引くからだ。すると、所得は少なくなり、連動して所得税も少なくなる。その結果、源泉徴収分と差額が生まれる寸法である。つまり、確定申告をしないことは、お金で損することを意味する。

「納税は国民の義務だから……」とイヤイヤするのではなく、「お金を取り戻すため」と考えれば、確定申告をするのが楽しみになってくるのではないだろうか。

事前に「マイナンバーカード」を取得することを忘れずに

最後に、新人フリーランスが確定申告前に必ず終わらせておきたいことをお伝えする。マイナンバーカードを持っていない人は、今すぐ作ってほしい。なぜなら、マイナンバーカードを持っているかいないかで、「控除」の金額が異なるからだ。

確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類がある。白色申告は、以前は「帳簿が不要」だった。だが現在は青色申告と同じように帳簿が必要になったため、青色と同じ手間がかかるようになった。だから白色申告をする理由はひとつもない。

青色申告の中にも、「簡易簿記」と「複式簿記」が選択できる。会計ソフトを利用すれば、両者の手間の差はほとんどない。簡易簿記だと10万円の控除が受けられるが、複式簿記だと55万円もしくは65万円の控除が受けられる。だから、複式簿記を選択しない理由はない。

フリーランスは開業時に税務署に「青色申告承認申請書」を提出するのが望ましい。その際は迷わず「複式簿記」を選択しよう(詳しくは『マンガでわかる フリーランスのお金のことぜんぶ教えてください!』田口智隆著、ワン・パブリッシング)を参考にしてください)。

青色申告の「複式簿記」で申告しても、控除額が55万円と65万円の2パターンがある。その差は、申告方法がアナログかデジタルかによる。申告方法がアナログ(税務署に持参・配達)の場合は55万円、国税庁のシステムであるe-Taxを利用して電子申告をすれば65万円の控除が受けられるのだ。

たとえば、課税所得400万円の人が、青色の65万円控除で申告した場合、白色申告に比べて、税金(所得税と住民税)の合計は、およそ20万円も安くなる。ちょっとの手間で20万円も変わるのだから、青色の65万円控除で申告しない手はない。そこで必要なのが、マイナンバーカードなのだ。

e-Taxを利用するためには、マイナンバーカードが必須。カードの現物を持っていなければ利用できない。マイナンバーカードの発行には数ヶ月かかることがあるため、確定申告の直前に慌てて申請しても間に合わない可能性があるので、注意が必要だ。

フリーランスで、もしまだマイナンバーカードを所持していない人は、早めに発行することをオススメする。ここまで準備できれば、あとは会計ソフトに数字を打ち込んでいくだけだ。簡単とはいえ、初めての確定申告でわからないことも出てくるかもしれない。提出日ギリギリになって焦らないように、年が開けたら少しずつ作業を進めていこう。

(堀田孝之)


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