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「ユニクロ」の1店舗1日平均売上高は?

「ユニクロ」のファーストリテイリングは世界2位に!

カジュアル衣料チェーンの「ユニクロ」と「ジーユー」を展開しているファーストリテイリング(9983)はまもなく、25年8月期の年次決算を迎える。成長軌道を継続しているのだろうか?

※本記事は、『図解! 業界地図 2026年版』(祥伝社)からの引用と、新しいデータを元に構成しています。

最初にファーストリテイリングの現在位置を確認しておきます。
ファーストリテイリングの25年8月期予想は、増収増益です。具体的数値は以下の通りです。

  • 売上高3兆4000億円(前年同期比9.5%増)
  • 営業利益5450億円(同8.8%増)
  • 純利益4100億円(同10.2%増)

売上高・営業利益・純利益という重要3指標がプラスで推移。売上高営業利益率も16%を想定しています。「ファーストリテイリングは順調に業績を拡大している」と判断していいでしょう。ファーストリテイリングはカジュアル衣料世界販売で、スペインのインディテックス、スウェーデンのH&Mと3強を形成しています。3、4年前までは米ギャップを含め4強といわれていましたが、ギャップが停滞したこともあり、現在では3強といわれるようになっています。

24年の売上高はインディテックス386・32億ユーロ、H&M2344・78億スウェーデンクローナでした。24年の対円為替平均レート「1ユーロ=160円」「1スウェーデンクローナ=14円」で換算すると、インディテックスは6兆1811億円、3兆2826億円です。つまり、売上高ベースでは、ファーストリテイリングは、スウェーデンのH&Mをやや上回って2位にランクイン。あとは、「ZARA(ザラ)」「PULL&BEAR(プル&ベア)」などのブランドを展開する世界トップのインディクスを追撃するだけ、というのが現在位置です。

世界3強の店舗数は以下の通りです。

  • インディテックスが5563店舗(24年12月末)
  • H&M4253店舗(24年11月末)
  • ファーストリテイリング3668店舗(25年5月末)

インディテックスとH&Mは、店舗数は減少傾向を示しています。インディテックスの場合、19年12月末には7469店舗を数えました。H&Mもこの5年間でおよそ800店舗減少しています。一方、ファーストリテイリングはほぼ横ばいでの推移です。ただし、25年5月末は24年8月からは73店舗増えています。

ファーストリテイリング3668店舗(25年5月末)の内訳

  • 国内ユニクロ 801店舗
  • 海外ユニクロ 1745店舗
  • GU店舗 491店舗
  • セオリーなどその他 631店舗

「ユニクロ」の店舗数でいえば、7割近くが海外です。「ユニクロ」の海外事業の売上高は、国内のおよそ2倍です。「ユニクロ」は、国内からグローバルブランドとして成長してきたのです。

グループ全体の利益は、1店舗売上高は?

ファーストリテイリングは、国内の小売業としては、セブン&アイホールディングス(HD)、イオンに次ぐ売上高3位の企業です。同社が目指しているのは、シンプルで上質、安価という〝究極の普段着〟の提供です。その代表は「ヒートテック」や「エアリズム」といった新素材です。繊維・化学メーカーの東レと糸から共同開発した素材を使い、機能性インナー「ヒートテック」の発売を開始したのは2003年。2023年には世界販売枚数が15億万枚を突破しています。

ファーストリテイリングの成長を支えているのは、こうした機能性新素材の開発力、それに生産の外部委託です。いわゆる、いわゆる、SPA(製造小売業)です。それを端的に示しているのが「原価率」であり、『図解! 業界地図 2026年版(祥伝社)』でも紹介しています。

「大量発注によって引受単価の低減化を進める→原価率が低くなる→原価率が低ければ粗利益率は高くなる→高い営業利益率が可能になる」

この好循環がファーストリテイリングの生命線なのです。
「ユニクロ」の1,000円の商品販売にたとえれば、原価は500円弱、経費は400円弱、儲けは100円強というのが大まかなところです。24年8月期決算でいえば、1,000円の商品を販売するごとに161円の営業利益を実現していました。多くの小売店が1,000円の商品を販売して得る営業利益が50円前後にとどまっているのとは対照的です。

ファーストリテイリングの主な経営数値
22年8月期23年8月期24年8月期
売上高 2兆3011億円2兆7665億円3兆1038億円
原価率  47.5%48.1%53.9%
粗利益率52.5%51.9%46.1%
人件費 3186億円3839億円4379億円
売上高人件費率13.8%13.9% 14.1%
売上高地代家賃比率3.4%3.7%3.8%
売上高物流費比率4.6% 4.2%4.0%
売上高物流費比率4.0%3.9%3.9%
売上高広告宣伝費比率3.4%3.3%3.3%
売上高販管費比率39.1%38.1%38.3%
営業利益2973億円3810億円5009億円
当期純利益2733億円2963億円3719億円
売上高営業利益率12.9%13.8%16.1%
売上高当期純利益率11.8% 10.7%12.0%

世界的に展開している「ユニクロ」、それに「ジーユー」店舗は、1日にどの程度の売上高をあげているのでしょうか? ファーストリテイリングが運営する「ユニクロ」の国内店舗の場合、大型店も小型店もあるが、平均すれば1店舗1日平均「227万円→260万円→274万円」というのが直近3期の推移です(国内「ユニクロ」直営店の商品売上高より)。「ユニクロ」事業は海外が主力になり、店舗数も売上高も国内を上回るようになっています。利益水準も国内を上回るようになってきました。1店舗1日平均売上高も右肩上がり推移しており、国内店舗水準と肩を並べるようになっていることがわかります。

「ジーユー」各店の1日平均売上高も伸長しています。

1店舗1日平均売上高
22年8月期23年8月期24年8月期
国内ユニクロ227万円260万円274万円
海外ユニクロ193万円240万276万円
ジーユー150万円174万円185万円

ファーストリテイリングは売上高10兆円を視野に入れています。「ユニクロ」次ぐブランド「ジーユー」の育成やM&Aなどが課題になります。(鎌田正文)

図解!業界地図 2026年版(祥伝社)

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