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電通グループと博報堂DYHDの経営規模と経営陣・従業員の年収は?

東京五輪のスポンサー契約をめぐる贈収賄問題。疑惑の目が集まっているのが広告業最大手の電通グループ、第2位の博報堂DYホールディングス(HD)だ。元役員が逮捕されたのは電通グループ。出版大手のKADOKAWAに関連して捜索を受けた大広は、博報堂DYHDの子会社である。

電通グループ(2021年12月期)博報堂DY HD(2022年3月期)
取扱高5兆2564億円 
収益(計上売上高)1兆855億円8950億円
売上高総利益9765億円3870億円
営業利益2418億円716億円
当期純利益1083億円551億円

電通グループと博報堂DYHDの経営規模を確認しておこう。電通グループは国際会計基準、博報堂DYHDは日本基準を採用している。そのため、単純比較はできないが、売上高総利益(粗利)で比較するのが妥当だろう。電通グループ9765億円に対して、博報堂DYHDは3870億円。電通グループは博報堂DYHDの2・5倍規模である。

電通グループは、世界的にも第4位、5位クラスだ。WPPグループ(英)、オムニコム・グループ(米)、パブリシス・グループ(仏)、インターパブリック・グループ(米)などと世界市場で競う。電通グループの売上高は、海外5986億円、国内5019億円。海外が国内を上回っているように、海外市場が主戦場になってきた。

博報堂DYHDの場合は、国内が中心で、海外売上高比率はようやく20%を上回るようになってきた。海外事業の拡大は、企業の成長に欠かせないが、リスクをともなうのも事実。世界的なコロナ禍の影響で、電通グループは2019年12月期、2020年12月期と2期連続の最終赤字に陥った。そのため、簿価1771億円の本社ビル(写真=地下5階・地上48階)を売却し、譲渡益891億円を計上するなどして21年12月期は黒字決算を回復した。22年12月期はロシアや中国事業が逆境下にあるとして減益予想だが、黒字は確保するとしている。

1771億円で売却された電通本社ビル
汐留シオサイトの東側に位置する電通本社ビル

大広、読売広告社、博報堂を傘下に従える博報堂DYHDは、電通グループとは対照的に黒字経営を継続している。所有株式で目立つのは、電通グループはダスーングループ、博報堂DYHDは久光製薬やKDDI、事務所の賃借先であるテレビ局のTBSHDなどである。

従業員や取締役の懐具合も確認しておこう。国際会計基準を導入している電通グループは、人件費の詳細を開示。「給与・手当・賞与5170億円」「福利厚生費730億円」など合計は、6267億円だった。計上売上高1兆855億円の58%に相当する金額だ。日本基準を採用している博報堂DYHDの場合は、決算資料で人件費総額は2187億円と説明している(計上売上高の24・4%)。

電通グループ
  • 従業員平均年間給与 1295万円(181人平均 平均年齢45・7歳 平均勤続年数16・9年)
  • 社内取締役平均年俸 6億4700万円(1億円以上の7人の平均)
博報堂DYHD
  • 従業員平均年間給与 1036万円(260人平均 平均年齢43・2歳 平均勤続年数13・7年)
  • 社内取締役平均年俸 8200万円(年俸1億円以上の2人を含む平均)       

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(鎌田正文)

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