日本の給料

モノづくりニッポンの代表格、自動車関連企業の「従業員年収ランキング」を作成した!

最も多額の人件費を支払っている日本企業はどこか?
いうまでもなく、トヨタ自動車(7203)だ。20年3月期は3兆4035億円、21年3月期は3兆2812億円だった。何かとマイナス話題が多い東芝(6502)の売上高(22年3月予想3兆3400億円)に相当する金額である。

人件費支給総額がトヨタ自動車に続くのは、NTT(9432)と日本郵政(6178)だ。両社とも2兆円台である。流通小売業では1兆2000億円のイオンが(8267)突出しているといえるだろう。人件費総額3兆円超――。あまりに巨額過ぎてピーンとこないが、少しでも身近に感じられるように、トヨタ自動車の売上高のすべてが自動車販売によるものと仮定して表にしてみた。

■トヨタ自動車の概要
2020年3月期2021年3月期
売上高29兆8665億円27兆2145億円
売上計上台数895万8423台764万6105台
人件費3兆4035億円3兆2812億円
研究開発費1兆1103億円1兆904億円
営業利益2兆3992億円2兆1977億円
   
▼一台あたりの数字
売上単価333.3万円355.9万円
人件費37.9万円42.9万円
研究開発費12.3万円14.2万円
営業利益26.7万円28.7万円
   
▼100万円の車にたとえると
人件費11.4万円12.0万円
研究開発費3.7万円4万円
営業利益8万円8万円
   
▼従業員
平均年収865万8711円858万3267円
従業員数7万4132人7万1373人
平均年齢39.6歳40.0歳
平均勤続年数15.8年16.2年
   
▼社内取締役
平均年俸3億8800万円4億100万円
(1億円超6人) (1億円超7人)

「売上高÷販売台数」の単純計算でいえば、同社は20年3月期及び21年3月期において1台当たり333万円~356万円のクルマを販売していたことになる。販売価格に含まれる人件費は40万円前後。12万~14万円に相当した研究開発費のおよそ3倍である。営業利益は30万円弱だった。つまり、トヨタ自動車は人件費や研究開発費、原材料費などを元手に、自動車1台につき30万円前後の儲けを出してきたということだ。

もっとわかりやすく、販売価格100万円のクルマにたとえてみよう。トヨタ自動車は、100万円のクルマを販売するごとに獲得した儲けは8万円である。一方、費用負担である研究開発費はおよそ4万円、人件費は11万~12万円に相当する。逆に言えば、トヨタ自動車の購入者は、100万円につき研究開発費・人件費合計でおよそ15万円を負担していたことになる。

トヨタ自動車の従業員の年収はどうか。親会社(単体ベース)における従業員平均年収は860万円前後での推移だ。1000万円を上回っていないことから目立つことはないが、新入社員からベテラン社員まで7万人超の平均額である。年収が1000万円を上回る社員が数多く存在していることは容易に想像がつく。同社の従業員は、高給集団といっていいだろう。社内取締役の平均年俸は4億円弱である。